今は登山客も増え、山頂も沢山の人で賑わっています。
俳句の会の方々が、ベンチに座り、筆記用具を手に、捻っておられる様子。
麓から山頂まで健脚なら1分で登攀できるこの峻厳な山。
すっかり観光地化されて、登山道も整備されました。
麓の教会は、デートした昔のままです。
(昔の回想)
教会の近くに彼女のお姉さんが、こちらに背を向けて立っていました。
箱入り娘は、ぼくとデートを続けていいか、お姉さんの許可を得に、また麓に下りました。
ぼくも一緒に行けば良かったのでしょうが、なにしろ、シャイな少年だったもので、
足に根が生えた様に動かなかったのです。
目だけは、彼女が小走りに下山し、お姉さんに何か二言、三言言っている様子を追っていました。
そうして、お姉さんがこちらに振り向き、軽くお辞儀をしました。
ぼくも強張った顔つきで頭を下げました。
ややあって、お姉さんは帰り、ぼくは彼女の方へ下りて行きました。
交渉が成立。
その後、確か、早稲田大学から、カテドラル教会の方へ、手をつないで歩いた記憶がありますが、
甘い、切ない、楽しい思い出です。